子犬を迎え入れる準備、餌、躾など、豆柴を飼うには知っておきたいことを解説します。
豆柴の子犬を飼う前の準備
小豆柴、豆柴を飼うのにぜいたくな準備は必要ありませんが、それでも家族の一員として迎え入れるのですから、必要な準備を怠ってはなりません。以下、説明いたします。
飼育場所を決める
飼育場所は大別して、屋内か屋外かです。日本犬は二重被毛に覆われ、環境の変化に順応し、寒いところほど綿毛が密生し耐寒力は高まります。従って、屋外飼育でも何の問題もありません。しかし、実際の豆柴の飼育状況を見てみますと、99%以上が屋内飼育です。
もちろん、それが富士野荘の推奨です。
屋内でも何処におくか、場所を決めなくてはなりません。その基準は夏涼しく、冬暖かい場所、家族の姿が見え易いところです。また、夏と冬は場所を変えることも良いでしょう。
屋外飼育は、耐寒力があるとは言え、犬舎内は暖房はいりませんが、隙間風が入らないよう配慮して、寝るときは体温で温まる工夫は必要です。
ハウス(クレート)を選ぶ
小豆柴や豆柴犬にも安住の場所が必要です。サークル内の広い空間に、片隅ではあっても皿状のものより、天井のあるクレートが安心して休めます。
サークルの選び方
サークルはトイレとして使うだけですのでそれほど大きなものは必要ありません。
60cm×90cm位で、蓋が出来るものをご用意なさってください。
飼育用具
プードル、ヨークシャーテリア等多くの洋犬はトリミングが必要としますが、小豆柴も豆柴も、トリミングは一切必要ありません。従って、用意すべきは、次の用具類だけでこと足ります。
- 食器
- 水容器
- トイレトレー
- トイレシーツ
- ブラシ
- 爪切り
- 玩具
子犬の迎え入れ
生き物である犬を飼うということは、癒しを貰うだけの一方通行であってはなりません。単に給餌、運動等管理をしていれば良いというのではなく、飼い主としての責任を十分自覚し、真の愛情を注ぐことが出来なければなりません。つまり、犬を飼うということは、玩具で遊ぶこととは違うということです。
そのことを念頭において、何が真の愛情かをしっかり考えたうえで子犬を迎え入れ、接して下さい。
子犬を迎えいれる当日
空輸等遠くから送られてきた子犬や、車で遠くから連れてきた子犬は、先ず、予め決めていたトイレの場所に降ろしてあげて下さい。その後に直ぐ水を与えてからゆっくり休ませることが必要です。
迎えいれから当面の注意
子犬は、犬舎内で飼うことを基本として下さい。そこが最もくつろげる、安住の場所となるようにするよう心がけることです。室内で放し飼いにするのはなれてからにしてください。
排泄(トイレ)の躾
オシッコやウンチの場所は、室内でさせるか、庭等外でさせるかを基本的に決めなければなりません。それは飼育環境や世話する時間的ゆとりによっても違います。ご家庭の環境に合った選択をすることが大切です。
室内飼育の場合
室内飼育に用いるサークルは、長方形でも正方形のものでも構いませんが、トイレとして使用するため、それほど大きくなくても構いません。
それに、サークルは長期間使うものではありません。排泄の躾が終わるまてです。
屋外飼育の場合、お庭の条件に合った広さの柵を設け、家屋側にに犬舎を造り、その中にクレートをおきます。囲いの範囲内で自由にさせておけば、片隅で排泄するようになります。特別の躾というものは必要ありません。
従順性の訓育・躾
従順性訓育は、服従訓練の第一歩ともいうべき重要度の高い躾ですから、毎日する事が大切です。主従関係を教え込むことが大切です。
折角飼うのですから、躾はしっかりしましょう。完成すると飼い主は楽しさ倍増、犬にとってはストレス解消、楽しい犬のある生活は、仕事から帰ってくると犬が真っ先にお出迎え、疲れも逃げ出すでしょう。
犬は家族の一員とて人との生活をしていくということは、自然の内に人や犬との触れ合いあります。外に出ると、見るもの、聞くもの皆始めての経験です。ということは、他人や他の動物、物体、そこから出る音や声に怖がらず、また攻撃的にならない、自然体でいられる社会化訓育が必要となります
目と目を合わせる
主従関係が出来ていないと、お互い幸せを満喫することは出来ません。その始まりがアイコンタクトです。
体を触られても大人しく
尻尾を触ると唸る、餌をたべているとき手をだすと咬みつく、というのでは野獣を飼うようなもの、飼い犬とは言えません。抱いても大人しく身を委ねる、耳や尻尾を引っ張っても嫌がることがない、またどこを触っても平常心を保っておられるようでなければなりません。
首輪やリードに慣らす
家族の一員として迎え入れる子犬。迎え入れた当初の子犬はとても可愛いものです。ついつい、可愛い、可愛いと甘やかしの飼い方をなさる方が少なくありません。過度の甘やかしは避けてください。
ご褒美はドッグフードを使う
本当のプロなら、出来たときの褒美は褒めることだけでなければ一人前とは言えません。しかし、ご家庭で愛犬家が訓練する場合は餌(ドッグフード)を使って行うのが早道です。
むやみに叱らないように
犬種によって頭の良し悪しはありますが、豆柴はとても覚えの良い方です。でも、同じ豆柴でも系統によって違ってきますし、個体差もあります。いろいろ教えることを直ぐ覚えないからといって決して叱ってはなりません。
叱るのは現行犯、行為の瞬間です。何秒も時間が経ってからではいけません。ただ、物を壊した等後で発見したときはは現物を示しながら、ダメだよと諭すようにして教えてください。
命令に従ったらすぐに褒める
犬の訓練とは褒めて覚えさせること、と心得て下さい。
褒めるのはオーバーに、「よーし、よし」と声をかけてください。状況によっては、同時に、好むところを撫でてあげてください。
命令の掛け方
声符はハッキリと
声符とは声による命令です。声符はハッキリかけることが重要です。それも同じコマンドを使うことが重要です。
それも、家族の皆さんで話し合って、統一しておくことも大事です。
指符は何時も同じ形で
指符とは主に腕と手を使った、身体の動きと形による命令の出し方です。
指符は常に声符とともに用いる
指符は、普段から声符と共に行っておくことが必要です。
訓練の注意点
子犬の訓練は1回に5分以内
訓練は根気よく、と申し上げましたことで誤解がないように、補足しますが、最初はほんの2,3分でも十分です。永くても5分以内が効果的です
声符・訓練用語は簡潔に
訓練の際の命令用語(声符)は簡潔であることも大切です。
家庭犬の初歩訓練
対面停座(おすわり)
『スワレ』の声符と同時に指符も併用して命令します。そうすれば間もなく、指符だけで座るようになります。
伏臥(伏せ)
『伏せ』の声符と共に、命令します。正しくやれば『指符』のみで命令に従うようになるのに、大した時間はかかりません。
待て
座った姿勢でも、伏せの姿勢でも構いません。勿論『立って待て』もです。何れの場合も一度『待て』を覚えたら、全てに応用できます。
招呼
座った姿勢等で待たせておき、呼んだら直ぐ来ることが基本であり、初歩の段階です。
ハウスの命令
『ハウス』と命令しただけで、クレートの中に入るように訓練しておくことも大切です。
運動のさせ方
最近は、かつては考えられなかったような病名の犬が増えています。その多くは循環器疾患、所謂生活習慣病です。過食、運動不足等による太り過ぎの結果なのです。そのため運動不足にならない気配りも大切です。
迎え入れた当初の子犬の運動
いくら運動が重要だからといって、無理な運動はいけません。成長段階に合わせた運動の仕方を考えて下さい。
外歩き散歩に連れ出す前準備
外へ連れ出す前に、抱くかキャリーバックにいれて、見物させてあげて下さい。
ドッグランナーを使っての運動
ドッグランナーの使用も使い方で役にたちます。
引き運動と散歩
ゆっくり散歩するだけではあまり運動にはなりません。
犬にとって運動は、とても大事です。朝晩、毎回20分か30分は、外に連れ出すとよいでしょう。犬種によっては歩いての運動では運動になりません。一緒に走るか、自転車での引き運動が良いでしょう。
運動不足はストレスの原因となるばかりではなく、肥満になりやすく、健康を阻害します。また、犬の運動は、取りも直さずご自分の運動でもあり、その効果は少なくはありません。ご自分の運動に犬を飼うという方も少なからずおられるのも、そのためです。
ドッグランで走らせる
何と言っても、ドッグラン等広い場所で走らせることは、一番良い運動方法です。それは社会性訓育が出来ていることが前提になります。
食餌
健康維持には蛋白質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、カルシウム、必須アミノ酸等バランスのとれた栄養分の補給と、必要量のカロリー摂取は前提です。日本にまだドッグフードのなかった50年前程までの犬の飼い方は、餌づくりは難しいというイメージがありました。これらの成分を、しかも均衡よく与えるには肉、魚、野菜等々を上手に用いて調理しなければならなかったからです。
したがって、餌はドックフードのみを与えることをお勧めいたします。
訓練のご褒美などもドッグフードの粒を使ってください。それも、次の分を作っておいて、その中かから使うと一定量を保てます。
もう一つ、ご注意していただきたいのは、人の食べ物です。一度与えると貰うものと決めてしまい、人が食べていると催促してきます。しかし、その習慣のない犬は人が食べていても、全く無関心です。その方が、躾の上でも、また健康面からも効果的です。
ドッグフードを吟味する
今では、犬の餌と言えばすべてと言ってもいいくらいドッグフードという時代です。各ドッグフードメーカーは良い製品の開発・供給に競いあっています。ドッグフードを用いる限り、初めて犬を飼う人も、何十年の経験のあるベテランも、事給餌面においてのハンディはないのです。
とは言っても、どのメーカー品も同じというものではありません。ひところ、アメリカにおいて、ドッグフードの発癌性が社会問題化したこともありました。発癌物質を含む食材等を使用していたメーカーがあったのです。
品質の差があったとしても当然です。例えば蛋白質含有量・率は同じであっても、用いられている食材の種類や鮮度・品質が同じではないからです。 アメリカにおいて、中国製ジャーキーを与えて千頭もの犬が死亡したと報じられたのはつい最近(2014年6月)のことですが、2013年にも中国産原料を使ったドッグフードで沢山の犬が死亡しています。
更に、その前々からドッグフードの発癌性が問題になった時期もあり、原材料使用に法規制が加えられている現実もあります。 したがって、ドッグフードならなんでも良いというわけにはいきません。十分内容を吟味して、最も理想的なドッグフードを選ぶことが大切です。
餌はしっかり与える
豆柴は餌をあまり与えないで小さくする等の話をよく耳にします。数いる豆柴ブリーダーのなかには、そういう人もいるかも知れません。しかし、それはとんでもないことです。必要な餌の量はしっかりと与えなければなりません。
飼い方の詳細は、こちら
豆柴や小豆柴は、餌をあまり与えず、発育を抑制した“可哀そうな犬”などとSNSに、何も知らずに、野次馬の尻に乗って、無責任な書き込みをしている人がいます。豆柴だけなら他所にもいますので、分かりませんが、小豆柴は、他所にはいません。小豆柴と書いてあれば、完全な創作文というしかありません。偽情報です。
勿論太り過ぎる飼い方をしてはいけません。肥満は人と同じでいいことはありません。だからといって痩せすぎにしては、これもいけません。どちらも寿命にさえ影響します。これは全ての犬種についても言えることです。人と同じに考えれば分かり易いかと思います。
ストレス予防
犬はとてもストレスの影響を受け易く、飼い主はこの点も十分考慮していかなくてはなりません。
ストレスの原因
どのような場合、ストレス受けるのかを考えてみます。犬にとってのストレスの原因には次のようなものが挙げられます。
- 情緒不安定な飼育環境での飼育
- 馴致不足による極度の恐怖感
- 分離不安
- 飼い主との信頼関係の不構築
- 運動不足、飼い主の経験
- 勉強不足がもたらす排泄の我慢させ過ぎ
- 何等かの身体の痛み
- 下手なトレーニングの強制による精神的抑圧感
- 社会化不足または欠如による影響
- 過剰な寒暖に曝される
ストレスの健康への影響
次に、ストレスからくる犬の不健康な状態、または疾患にはどのようなものがあるのかについて述べてみましょう。ストレスが原因で起きる健康障害には次のようなものがあります。
- よく身体を掻いたり噛んだり舐めたりする
- ちょとしたことで震える
- さほど暑くもないのに口を開けての口呼吸や動悸
- いつもソワソワしていて落ち着きがない
- 下痢をし易い
- 過多なふけや脱毛
- 身体の汚れ
- 身体や口の強い悪臭
- 飼い主を見る目が藪睨みになったり避けたりする
- 行動が鈍い
- 元気がない
- 無駄吠えをする
日常の手入れ
被毛の手入れ
ブラッシングは毎日一度はしてあげて下さい。ブラッシングをすることによりマッサージ効果もあり、毛艶もよくなります。特に換毛期にはスリッカーブラシやコームで抜け毛を取り除てから獣毛ブラシでブラッシングします。通常は獣毛ブラッシだけでも十分です。
シャンプー
シャンプーは月に一度くらいで構いません。過度のシャンプーは却ってよくありません。
耳の点検・掃除
ブラッシングは丁寧に行い、綺麗な皮膚・被毛を保っているのに、耳の内側や耳の中は見えないせいもあって、手入れを怠りがちの方が多いようです。しかし、耳にはいろいろと落とし穴があるのです。 したがって、シャンプーの後と、何でもなくても耳の中を綿棒で検査を兼ねて掃除する必要があります。
服は着せない
豆柴といっても、柴犬の小さな系統というだけで柴犬には違いなく、寒さにはとても強い犬種です。柴犬は二重被毛になっていて下毛は綿毛、しかも寒さの程度に順応して寒い環境ほど密度が高くなるからです。従って、何か記念に写真を撮るとき、その場限りならば兎も角、豆柴に服を着せるという行為は、“虐待”しているのと同じことです。
多頭飼いについて
多頭飼いについての飼育方法は、こちらをご参考になさって下さい。